『野次喜多本』登場人物の新たな“ちょっといい話”(12)「エメラルド会」展 人生と絵手紙の師 出井保勝さん

 

「私達の世代は気がついたらデジタル社会だった」と書いて、ため息がでた。
聞きなれない、IT社会(情報技術)だのインターネットだのと
覚えた頃にはまた新語が出てきて、ついてゆくのに大変だとぼやきながら、
考えによっては、ボケる暇がない。そうだ、ありがたいことなのだと、
まあ一応感謝して日々を送っているが、心から面白く思ったことがない。・・・

ところがある日、先輩の出井さんより一通の絵手紙を頂いて、
返事を拙い絵手紙で出すはめになって思った。
わが手で描くことは「ヘタでいい、ヘタがいい」と・・・

齢58歳、まだ早いという自分と、
いい歳だからスタートを、との声の中で絵手紙人生が始まった。
・・・『野次喜多本』より抜粋。

その絵手紙の師、出井さんが74歳からPCを始め、
ソフトはペイントで、今年85歳まで
コンピューターグラフィックで絵を描き続け、
絵手紙も、プリントした“ハガキ・試作品”を送ってくれていた。


8月26日から始まった「第19回 エメラルド会展」では
大作「宇宙」3点を出されたのには驚いた。
(↑写真1、太陽と地球・宇宙の夢を描く)

 


昨年までは、かわいい犬(↑写真2)や猫など、
若い女性に好評を博した作品が多かったのに今年は大飛躍、「宇宙」である。

毎日5000歩以上あるき、毎日マウスで制作されている。
85歳、まさに年齢を感じさせない作品群の幅は凄い。
彼を見ていると、やはり第一線の芸術家は肉体も精神も“若い。”
その陰に日々の努力、「継続は力なり」があることは言うまでもない。

(喜多謙一) 

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