職務経歴書・ポートフォリオ作成のコツ

過去の弊社ブログの連載から、特に役立つ項目をまとめました。
今回は、第1回目「職務経歴書・ポートフォリオ作成のコツ」です。

その他のトピックを先に読みたい方は
第2回「デザイナー面接のコツ(質問例、マネージメント経験)
第3回「手描きデザインスケッチのコツ、業界による必須スキル」へお進みください。

ポートフォリオⅠ 全般

プロダクトデザイナーが転職をする際に必要なのは、「ポートフォリオ」、「職務経歴書」、「履歴書」です。特に書類審査では、この順番で重視されます。
まずポートフォリオが無い方は、用意してください。このページの下部でも詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。

とはいえ、作りはじめたらついつい凝りすぎてしまい、最初の1ページに何日もかけて、そのうちに先延ばしにしてしまうのはよくあると思います。

しかし、転職活動は運と縁とタイミング。当社に相談に来た方には、「まずは自己評価30点でいいから、一通り完成させてください」と伝えます。ポートフォリオさえあれば、求人がきたときに受けることができるからです。

自分がどの程度評価されるのか、他社からみたら自分の仕事はどう評価されるのかなど、まずは受けてみないとわからないところもあります。また「そもそも自分がどのような仕事を希望しているのか」も、いろいろな会社の求人を調べてみて初めて認識できる、ということもあります。
見る側もプロですので、30点のポートフォリオでもある程度は想像してくれます。

転職を考えているなら、「まずはポートフォリオを自己評価30点でいいから完成させる」。このことを意識してみてください。
なお、弊社へ登録する際は未完成でも構いません。むしろ未完成で面談をした方が、アドバイスを受けてから作成できるのでムダが少ないかもしれません。

※ポートフォリオなしでも応募可能なデザイナー案件は要注意です。人が来なくて困っているブラック企業だったり、デザイン軽視の職場である可能性が高いです

追記:ポートフォリオについては例外もあります。たとえば自動車業界のモデラーでは、ポートフォリオ無しで、写真多数(この完成車のここを担当した、と示すだけのもの)と職務経歴書だけで受かった例もあります。また、ポートフォリオがなくても明らかに経験、スキルがマッチしているので、面接に進めた例もあります。(この場合、実技試験で審査されます)


ポートフォリオは、デザイナーの顔となるものです。
多くの皆さまのポートフォリオを見ていますが、ほとんどの方は「もったいない」状態になっているので、よくするアドバイスを記載します。

説明不足

よくある残念なポートフォリオは、これまでにデザインした商品写真だけが掲載され、その製品名、「製品の説明」が書かれていてカタログみたいになってしまっているもの。

弊社のコンサルティングでヒアリングすると、ほとんどの製品には明確なデザイン意図があり、また技術上の制約があったのをデザインを崩さずにクリアしていたりと、デザインスキルの高さを感じさせるエピソードがあります。

こういった内容は、見ただけではわかりません。むしろ、わからないようにデザインしているからこそ価値があることもあります。であれば、文字や説明で補足するべきですが、多くの人はここがなかったり、足りなかったりします。

(当社を通す場合は、そのあたりを補足した「推薦文」をつけるのである程度は伝わりますが、やはり自分の言葉で補足したほうが効果的です。)

転職する以上、今までと別の製品をデザインすることになります。求人担当者は「これらの製品をデザインしたのはわかったが、この人は当社でどのようなデザインができるだろうか」と疑問を持っています。

それに対して例えば、「1つ目のこの商品は、新興国のコンシューマ向け商品。他社が派手なデザインだったため、あえてシンプルにして日本製らしさと高級感を表現した」「この製品は取っ手部分が出っぱってしまうが、その突起部をキーにして特徴的なキャラクターラインを作り、デザインのアクセントとした」

などの説明があれば、うちに入社してもターゲットに合わせたデザインができそう、マイナスポイントもうまく処理できそうだ、と期待してもらえます。もちろん、これらの説明を簡潔に短く読みやすく表現し、美しくレイアウトすることも重要です。(文章で長く説明せず、引き出し線で場所を指定して一言で伝えたり、矢印や記号で文字を減らすこともできます)

その作品に自分が関わってどうよくなったのか、どのような困難なポイントがあり、それを克服したのか。
例えばエンジニアからこういう要求があったが、ユーザーの使い勝手のために当初デザインを守るべきだと説得し、ここの部分がこのようになった、など。ポートフォリオは、製品の良さを説明する資料ではなく、あくまでも自分の良さを説明するものです。その点を強調してみてください。


ポートフォリオⅡ 構成の基本

次は作品の掲載順の話です。これも多くの方にアドバイスさせていただいています。

最初に載せるべき作品は?

作品は新しい順で、自信のあるものから順番に載せるようお勧めしています。新しい順ではなく年代順に並べる方がいますが、それだと初期の作品が最初に並び最初の数ページで「このレベルではダメだな」と落とされる可能性があります。自信のある作品を最初に掲載することをお勧めします。なお、希望する会社の分野に近い作品があり、自信がある作品であれば、それを前の方に持ってくるのもアリです。

現在の仕事が希望ではない分野の人は?

現職と異なる分野に転職したい方は判断が難しいです。なぜなら、新しい作品を最初に持ってくると、希望しない仕事の作品が先頭になってしまうからです。かといってプライベートで作成した作品や学生時代の作品が一番前に来ると、未熟な作品が先頭に来てすぐに切られてしまう可能性があります。

希望でなかったとしても、仕事で作成した作品の方が見栄えが良くスキル的にも優れていることがよくあります。この場合は、やはり自信のある作品から順に掲載し、後半で一度区切りをつけて「○○会社様向け ○○デザイン(自主制作)」等の扉ページをつけて掲載すると良いと思います。

最初の数作品は数ページかけて長く詳しく

構成について、下図は弊社がよく説明に使う図です。左側がポートフォリオの1ページ目、右側が最終ページを示します。タテ軸は、載せた作品に対する説明の深さを示します。

 
 

ポートフォリオの最初の数作品は自信のある作品ですので、数ページかけて深く、詳しく説明します。例えば以下のような構成があります。

・1ページ目・・・作品表紙(全体写真やレンダリング、製品名、担当)
・2ページ目以降・・・その製品の企画内容、コンセプト、ラフスケッチなどのデザインプロセスを順に掲載
・最後に再びその製品の写真や部分拡大図を載せ、形状の理由などをポイントごとに説明

大切なポイントを簡潔に見やすく表現することも、デザイン能力の一つです。説明がうまければ、それもプラスになります。

※注意!「説明」と「長文」は違います!

「詳しい説明」といっても、ポートフォリオ内の長文の説明は読んでもらえません。
「説明を増やす」のと「文字を増やす」のは違います文字が少ないままで説明を足すことはできます。矢印や囲みを使ったり、補足の写真を入れたりすればOKです。

また、文字を1カ所にまとめず分散させるのも読みやすくする方法の一つです。例えば画像の下に数文字から十数文字の説明をつけることでパッと見た理解を一瞬で補足してくれます。それが各画像にあれば、それだけで説明文を3行分ぐらい短くできます。

構成2:最初の数点以降は、徐々に短く

最初の数点以降の作品は1ページ1作品程度で簡単に触れます。
最後の方のページには、自分の能力の幅を見せるべく、たくさんの作品をコンパクトにまとめて載せます。

作品によっては、1ページに4-8点を載せる場合もあります。また、パッケージや操作パネル版下、展示会ブースデザインなど、メイン業務ではないが経験はある、という程度のものを載せるのもこの位置です。

複数社で違う分野の経験の方の場合

経歴が長く複数社でそれぞれ自信のある作品がある場合は、会社ごとに分けても良いです。

例えば最近の会社の作品を上図のようにひとまとめにする。
次に、前の会社で最も自信のある作品をもう一度深く説明し、また上図のように段階を追ってだんだん浅くする、という上図の構成が2回続く構成です。

ただし、この場合は1ページ全体を使った「扉ページ」を用意するなど、読みやすくする工夫が必要です。扉ページとは、シンプルなページを中表紙として用意することを言います。例えばそこまでのA社がプロダクトデザインで、そこからはB社で経験したUIデザインの作品になるのであれば、1ページの真ん中に「UIデザイン」とだけ書いたページを用意します。

このようなページを用意することで、ぱらぱらとめくっていても「あ、ここから内容が変わるんだな」と新たな気持ちで見てくれます。


ポートフォリオⅢ インデックス他


ポートフォリオはどうしてもページ数が多くなります。前回記載した掲載方法の工夫に加えてお勧めしたいのは、カラー画像付きのインデックス(目次ページ)をつけることです。表紙の次のページに掲載します。イメージとしては、以下のようになります(クリックで拡大)。

画像付きインデックスの例

インデックス1ページでキャリア全体が伝わる

ポートフォリオの後半には自分の『幅』を示すため、前半とは違う種類のデザイン作品が掲載されます。前回掲載の工夫はできますが、忙しい担当者が全部を見てくれるかどうかわかりません。

そこで画像付きインデックスをつけると、早い段階で「この人はこういう商品をデザインしてきたのか。パッケージとかカタログデザインも経験豊富だな」と一瞬で伝わります。また、通常なら見逃されがちな後半に掲載した作品も、「こういうテイストのデザインもできるのか、あとで見よう」と思ってくれると思います。

過去登録者の例

例えば過去の転職希望者で、男性をターゲットにした製品を多くデザインしてきた方がいました。しかし、少ないながらも女性向けのかわいらしいデザインも経験していて、ポートフォリオの最後の方に掲載されていました。
強みは男性をターゲットにしたデザインだったので順番はこれで良いのですが、女性向け作品が見逃されてしまう可能性があります。

その点、最初のページで画像付きのインデックスがあれば間違いなく確認してもらえるので、「男性向けばかりかと思ったが、女性向けデザインも経験している。幅広いデザインができる人だな」と評価が上がります。

その他ポイント1:ヨコ長16:9レイアウトがおすすめ

ポートフォリオのレイアウトをタテ長にするか、ヨコ長にするか。
以前は「作品が縦長に収まるものが多ければ縦長、自動車など横長に収まるものが多ければ横長」と話していました。今でも、学生さんなど出力したものを持参する場合はそれでいいのですが、今の時代はほとんどの会社がPDFでの提出です。PDFの場合、タテのポートフォリオは非常に見にくい。そこで現在は、ヨコ長で作成することをお勧めしています。

また、比率は16:9がおすすめ。紙の比率だと古く感じられる場合があります。

その他2:作品件数が多い場合は2冊に分ける

ベテランの方は作品数が膨大で、ポートフォリオが厚くなりがちです。
その場合、ダイジェスト版で薄い(20ページ程度)ポートフォリオを1冊作り、詳細資料集として厚いポートフォリオを別に用意する、という形式もありです。

また、これまでの経歴が異分野にまたがるのであれば、領域で2冊に分けるのも良いです。例えば、過去のA社、C社でデザインした消費者向けの製品と、B社でデザインした産業機器を分けたり、または家電系と雑貨系で分けるなど、見た人が理解しやすい方法を考えてみてください。

その他3:仕事作品が少ないなら学生ポートフォリオも

逆に若い方で、まだ仕事でデザインしたものがあまりない方は、学生時代に作ったポートフォリオも参考資料として提出することをお勧めします。

過去に転職紹介した若いデザイナーの話です。作品実績が工場やBtoBの四角いデザインしかなく、希望するデザイン重視の某家電企業には全くアピールできない状態でした。しかし学生時代にはファッショナブルな製品や消費者向けの製品などをデザインしていてポートフォリオがカラフルだったので、学生時代のポートフォリオも合わせて提出しました。現職の堅いデザインで仕事に対する実直さをアピールし、学生時代の柔らかいデザインで彼自身の『幅』を示すことができ、希望の会社に転職することができました。

※学生時代のポートフォリオを付ける場合、数ページを抜粋するか、そのまま何も手を付けずに「参考資料として」提出することをお勧めします。中身を手直ししようとするといつまで経っても終わらなくなりますので…。

その他4:自分が何を担当したのかを明確に

チームでデザインしたものは、自分が何をデザインしたのかを明記してください。自分はごく一部しか参加していないとしても、嘘や誤解を招くような書き方をすると面接でそれが判明した際に、必要以上にがっかりされて心象が悪くなります。

また、商品自体の良い点を書く人もいますが、これは意味がありません。ポートフォリオはあなたがどうすごいのか、を見せる資料です。私がデザインを担当したからこう良くなった、という点を伝えられるよう、意識しましょう。その他5:「売れた」「社内賞」等は目立つようにPRする

盲点かもしれませんが、多くの方はデザインした商品がヒットしたことをポートフォリオに書いていません。

例えば「初回ロット30,000個が完売」「レビューサイトで星4.5を獲得」「売上3000万円を獲得(通常の2.5倍)」など、見た人が「なにかすごいんだな」と伝わるような記述があると良いです。(受験企業が他業界でその数字がわからなくても「完売」などと書いてあれば伝わります)

こうした実績は「第三者の評価」になり、デザインの好き嫌いを超えて評価されます。また、実際には「この売上は社内では普通」と思っても、「量販店での売上ランキングTOP5!」などと記載すると、「良いデザインなのかな」と感じてもらえます。

業種によっては(先行提案ではなく)商品化・量産化したこと自体が評価につながりますので、そういう業種ではどこかに記載しておくといいと思います。(「製品化」をアイコンやマークにしてインデックスや作品のタイトル下あたりにつける方法もアリです)

その他6:誰かに見てもらう

なかなか難しいかもしれませんが、、、他の人に見てもらうことで、自分では当たり前だと思って省略していたところが伝わらなかったり、逆に大したことないと思っていたことが実は価値がある、という発見があります。(誰も見てもらえる人がいないのであれば、ぜひ当社にご登録ください。無料でアドバイスいたします)

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ポートフォリオⅣ 初めて作成する方へ

1.これまでの作品のリストアップ

初めてポートフォリオを作成する際は、まず初めにこれまで自分が手掛けてきた作品(製品、デザイン仕事)をリストアップすると良いです。

上図のように簡単で構いません。転職経験のある人は、会社ごとに書くとよいです。人によっては膨大な量になるかと思いますが、その場合はポートフォリオに掲載する可能性があるものに絞りましょう。あくまでもポートフォリオを作成するための準備ですので。手書きでもパソコンでの作成でも構いませんが、データで残しておいた方が今後再作成するときに楽です。

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2.分類と評価から掲載順・量を決める

書き出せたら、次はポートフォリオの構成のために分類と選別をします。表の中でも「自己評価」として◎や△で表現していますが、それも参考にしながら、ポートフォリオの掲載順番、掲載量を考えます。

掲載順については、本ブログの「ポートフォリオⅡ構成」で示したように、自信のある順に掲載します。また、最初の方の自信のある作品は数ページを使って詳しく、後半の自信が無かったり専門ではない作品は1ページに数点載せるなど、サクサク見られるようにします。前の表はプロダクトデザイナーの例ですので、GDのパンフやパッケージは後ろの方になります。それらの作品で「専門ではありませんがこんなこともできますよ」と、自分の幅を見せるイメージです。

「掲載量」というのは、例えば上の2番目の送風機は「良いがデザイン提案のみ。材料がない。デザイン提案だけで終わったしまったので、ラフスケッチとCGレンダリングしかない。このような掲載する材料が少ないことを示しています。また、ロボット掃除機のCMFのみの提案やパンフ、パッケージもラフスケッチなどは無いかと思うので、掲載するための材料は少ないかと思います。

3.ポートフォリオの構成「台割」を作る

掲載作品と順番が決まったら、簡単な「台割」を作成することをおすすめしています。台割というのは、何ページに何を載せるのか、という図です。例えば以下のように四角を並べて、各何ページにするか、という構成を作ります。簡単でいいですし手書きでいいのですが、こうしておくと全体像がわかり、どこを厚くするか、薄くするかが見えてきます。

画像

作成開始! ラフを書いてから/参考にするページ

ではいよいよ作成していきましょう。とはいえ、いきなりIllustratorを開くよりも、まずはラフを書いてみましょう。汚くて恐縮ですが、、、以下図のような、簡単な手書きです。こうしてレイアウトを大雑把に検討してから作成した方が、圧倒的に早くできます。画像

なお、ポートフォリオデザインの参考として、Adobeがやっているポートフォリオ投稿サイト「Behance」があります。ここで、「Product Design Portfolio」と検索すると、世界のデザイナー(学生も多いですが)のポートフォリオが見られます。この中で「いいね」が多いものを見ると参考になります。

https://www.behance.net/

※載っているものは皆さんグラフィックデザインスキルが高いのですが、ここまでこだわる必要はありません。あくまでも自分のスキルが伝わればよいので。レイアウトのパーツや構成を参考にしてもらえればと思います。

とはいえ、社内でプレゼンする資料はきれいに作成していると思いますのでそのレベルにはしてほしいです。
過去に、ポートフォリオに掲載されているプレゼン資料はとてもレイアウトがきれいなのに、ポートフォリオ自体のレイアウトはいかにも「PowerPointで適当に作ってきた」感じの人がいました。いくらグラフィックデザイナー求人ではないからといって、デザイン部として他部門や経営層、クライアントにプレゼンを作成する機会はあります。
「この人は転職の勝負場面で、この程度のレイアウトデザインしか作れない人なんだな」と思われてしまうかもしれません。
苦手な人も、自己ベストレベルのレイアウトデザインを目指しましょう。

補足:プロフィールページは必要か?

学生のポートフォリオではプロフィールページを作成することをお勧めしています。そこでは、出身地や高校、大学名、使えるソフト、趣味、笑顔の写真などを掲載しています。ここの写真は友達と遊んでいる時に撮影したラフなものとか、学生時代に打ち込んだスポーツをしている時の写真など。

学生には「企業は『後輩』を探している。プロフィールページで趣味とかスポーツとかがわかると、後輩として親近感がわく」ので掲載した方がいい、とお勧めしています。

中途採用の場合は無くて構いません。20代後半ぐらいからは、プロフィールページに時間を割くなら、内容を充実させることをお勧めしています。多くの場合、面接官は後輩、同僚を探しているので人となりが分かった方がいいのですが、このぐらいの実務経験を過ごすとデザインスキルで差がついているので、人となりが分からなくても書類は通るからです。人柄は面接で十分に判断できます。

逆に20代半ば以下、まだ実務経験が数年であれば、学生と同様に人柄をアピールするのも有効な可能性があるので掲載して損は無いかと思います。


職務経歴書について 

職務経歴書Ⅰ

 職務経歴書については、YouTubeでもご説明しています。

– 職務経歴書<概要編>(職務経歴書の意味、使われ方) 
 https://www.bt2.net/column_pd/8231.html 
– 職務経歴書<詳細編1>(「職務概要」「経歴」の書き方、部署異動した場合)
 https://www.bt2.net/column_pd/8253.html 
– 職務経歴書<詳細編2>(活かせる経験・自己PR、管理職経験など)
 https://www.bt2.net/column_pd/8280.html  

また、後述の 転職Hacks様のテンプレート を使って私が作成した新サンプルPDFは、以下をクリックしてダウンロードできます。


職務経歴書【下村サンプル】ver210406

このサンプルの記載前のテンプレートは、上述の​ 転職Hacks様のテンプレート のページからダウンロードしてください。

初めて転職される方にとっては、「職務経歴書」は聞き慣れない言葉だと思います。職務経歴書は、自らのこれまでの業務の履歴、そこから得たスキルを記載するものです。

ある人の能力は、それまでにどんな仕事をどのようにしてきたか、によって表現できます。デザイナー以外の転職活動では、この職務経歴書と履歴書が書類選考での『全て』になります。求人企業はこれらと本人の説明を聞き、求めている人材にマッチしているかどうかを判断するのです。

デザイナーの場合はポートフォリオが重視されるのでこれが全てとはなりませんが、面接で効率的な自己紹介をするのに使用されます。また、2次面接、3次面接でデザイン部門以外の方が面接をする場合、ポートフォリオではなく職務経歴書を重視されることがよくあります。

例えば、先日同席させていただいた面接でのこと。デザイン部のマネージャーと人事部のマネージャーが同席されました。面接を受ける求職者のポートフォリオが1冊だったので、デザイン部の方が隣の人事部の方に渡そうとしたところ、「僕はそれを見てもわからないからいいよ」と答え、まったく見ませんでした。その代わりに履歴書と職務経歴書を熱心に読み込み、それに記載されている内容についていろいろと質問していました。

 

ついついポートフォリオに力をかけすぎて、職務経歴書が適当になっている人をたまに見かけます。しかし、人事部門の方はポートフォリオではなく職務経歴書と履歴書しか見ません。油断しているとここで落とされることがあります。また、職務経歴書は、文字ばかりでも読んでくれますので、ビジュアル化しにくい内容についてはこちらで表現しましょう。

概要・書き方

書き方に決まったフォーマットはありませんが、紙のサイズはA4縦書きで、1-3枚程度です。枚数が多くなってしまう方は、行間、文字サイズを見直しましょう。枚数が多い方へのアドバイスはたいてい「行間が広すぎてムダに枚数が多くなっている」ことと、「文字サイズはもう少し小さくてもOK(10Ptあれば読みやすいが、9pt程度でもOK)」ということです。

シンプルで読みやすいレイアウトデザインが好まれます。職務経歴書はデザイン部門だけでなく、人事部門の面接担当者や、役員の方が面接に来た際も目を通します。装飾的なデザインにせず、読みやすさを第一にしましょう。(この記事の冒頭のサンプルもご参照ください)

職務経歴書Ⅱ

職務要約(サンプルの【職務要約】)

まず冒頭で、「職務要約」として3行から5行程度で、これまでの職務経歴を抽象的にまとめます。例えば以下のような内容です。

大学卒業後、○○メーカーに入社しプロダクトデザイナーとして従事。白物家電を中心にリサーチ、コンセプト決め、アイデアスケッチ展開、デザイン詳細、3Dデザインモデル作成、量産チェック、パッケージディレクションまで担当。特に◇◇では業界シェア3位だった状況を2位に改善することができた。樹脂成型の知識、社内エンジニア部門やマーケティング部門、製造部門とのコミュニケーション経験も多く、難しいデザインを部門長に直接プレゼンをして通した経験もある。

職歴(サンプルの【職務経歴】)

何年から何年まで、どこの企業のどの部門に所属し、どのような製品をデザインした、どのような業務を担当した、という点を簡潔に記載します。あまり有名でない企業の場合は、一言、何をしている企業か説明を付けます。
職務内容はサンプルのようにデザイン分野ごとに「■プロダクトデザイン」など小見出しを付け、どのようなデザインおよびその周辺業務ができるのか、簡潔に記載します。例えばラフのアイディア出しからファイナルレンダまで、もしくは3D図面まで、製造手配まで、操作パネル、画面デザインも、等々箇条書きにすると分かりやすいです。また、具体的な商品例を書くとわかりやすいと思います。
新しい順でも古い順でも構いませんが、職歴が長い場合は新しい順に書いた方がわかりやすくなります。

なお、就職してから数年後、留学した、学校に通いなおした、等は職務経歴書では年代の中に入れた方が理解しやすくなります。できれば1行程度で簡潔に。その場合、空白の年が無いようにします。留学準備、就職活動、フリーランスとして受注、等、会社に所属していない年があれば、その間何をしていたか記載します。

特に業務経歴が長い方は、ここで「特筆事項」として何か社内で活躍したエピソード、苦労して達成したエピソードを3行ぐらいで表現すると、より印象的な職務経歴書になります。(逆にそういうものがないとご自身の良さが表現しきれない方が多いので、よくアドバイスしています)

デザイン以外の分野からデザイナーに転向した人の場合ですが、「デザイナーになる以前の仕事」を全く記載しない人がいますが、これはもったいないことです。デザイン業務でも、デザイン以外の仕事の経験が役立つことは多々あります。ですから、最後の方に簡潔に記載しましょう。簡潔に、というのは、ここが長すぎると、デザイン志望ではないと思われる恐れがあります。同様に、社内でデザインと関係ない部門に異動していた時期についても、業務内容を記載しておいた方がプラスになります。

能力(サンプルの【使用するツール】【語学力】)

使えるソフトウェアも別項として記載します。そのレベル、業務に使っていた/一部のみ使用可能/現在学習中、等も記載します。
話せる言語(英語、中国語等)とそのレベルも記載します。
管理職経験は年齢が上がると重視されるので、もしあれば特別に項目を設けてアピールするとよいでしょう。
その他、以下の例の<知識・経験>のように、具体的にどんなデザイン/周辺知識があるのかもアピールしても良いです。

 

例:
<知識、経験>
・樹脂成形に関する知識、デザイン経験
・金属加工に関する知識、デザイン経験
・生活雑貨、美容機器のプロダクトデザイン経験
・パッケージ、パンフレット等のグラフィックデザイン経験
・社内の企画部門、設計部門とのコミュニケーション

<使用できるソフトウェア>
・Illustrator、Photoshop :実務で自在に使用可能
・Rhinoceros :簡易な形状であればモデリング可能
・SolidWorks :基本操作のみ
・AutoCAD :実務にて使用可能
・Word、Excel、PowerPoint:実務で自在に使用可能

<語学スキル>
・英語 TOEIC 645点  読み書き:実務にてメールでのやりとり経験あり。
 会話:旅行会話程度

<管理職経験>
・現在部下2名のマネジメントを担当。(過去最大4名まで経験)

 

その他

ま職務経歴書の後に1ページ程度を使って代表的なデザイン作品を小さな画像でまとめる方や、職務経歴の右側に小さな画像で代表作品を並べる方もいらっしゃいます。
なお、もちろん弊社に登録いただいた場合には最初にポートフォリオ、職務経歴書を確認させていただきますので、その際に必要であればアドバイスいたします。

以上です。
なお、もちろん弊社に登録いただいた場合には最初にポートフォリオ、職務経歴書を確認させていただきますので、その際に必要であればアドバイスいたします。


履歴書について

今回はデザイナー転職時に軽視しがちな「履歴書」についてです。

デザイナー転職での3点セットは、ポートフォリオ、職務経歴書、履歴書です。重要度の順番はこの通りで、場合によっては「書類審査では履歴書は不要」というケースもあります。 そのような扱いの履歴書ですが、重要だったケースが何度かありましたので、その経験を説明します。  

<よく注意する点>

1) 写真はほほ笑む程度の笑顔で

一昔前には「あごを引いて真剣な顔で」と言われた記憶があるのですが、現代においては少し口角をあげてややにっこりしているぐらいの表情が好まれます。他社のサイトなのですが、このページのよい例にあるように、少し口角を上げて歯は見せずほほえむ程度がちょうどいいです。企業は「一緒に働く仲間」を探しています。これを見れば、笑顔の方が採用されやすい、とわかるでしょう。

転職HACKS「履歴書写真 落ちない撮り方丸わかり」
https://ten-navi.com/hacks/resume-9-3839

2)写真の服装はスーツが無難

勤務時の服装がビジネスカジュアルであったとしても、写真ではスーツが無難です。履歴書は人事部も方も重視するので、デザイン部の方は何とも思わなくても人事部の人が「常識がないな」と思ってしまうかも知れません。わざわざリスクのあることをする必要はありません。(実際に、過去に「履歴書の写真の服装がだらしない」という理由で落ちた人がいました)

3)志望動機のあるフォーマットを使う

履歴書はいろいろなサイトでフォーマットが見つかりますが、必ず「志望動機」のあるフォーマットを使ってください。そこに、御社に入りたい、という熱い気持ちを簡潔に書きましょう。
某メーカーでは、デザイン部門のマネージャーにポートフォリオと職務経歴書を提出したところ、「うちの製品はやや特殊だから、これまでの経験だけだと何とも言えない。なぜうちに入りたいのか、志望動機が知りたいので、履歴書も提出してもらえますか?」と言われました。特に応募が多い人気企業では志望動機が重視される傾向にあります。

4)職務経歴、学歴に空白を作らない

例えば仕事を辞めた後、次の会社まで1年や2年あいたり、海外留学までに1年あく場合があります。そうした方に質問すると、たいていきちんとした理由があります。例えば「会社を辞めた後、次の就職先を探しながら、友人から単発で仕事を受けていた」、「海外留学のためにお金を貯めるために1年間デザインと関係のないアルバイトをしていた」「学校を卒業した後、大学院に行くか就職するか迷いながら就職活動をしていた」等々です。

いずれにしても、何も書いていないと採用する側は不安になったり悪い想像をしてしまうので、上記のような理由でも構わないので職務経歴欄に()付で1行足して、空白期間が無いようにしましょう。

5)不必要に転職を多く見せない工夫

例えばA社からB社、C社に2年ごとに出向したとか、会社が合併や分社して名前が変わったという場合には、転職したわけではないことを表現するため、以下の画像のように書くと良いです。

良い例(クリックで拡大します)

悪い例(クリックで拡大します)

いかがでしょうか。人事部門が応募を受け付けする際に転職回数で足切りをする場合があります。「悪い例」の方だとその事情などは見ずに機械的に足切りされてしまう可能性があるので要注意です。

6)指定がなければ手書きでなくてOK

たまに聞かれますが、中途採用の際には手書きである必要はありません。むしろ読みにくいので、よほど字に自信が無い限りは、PCで作成してプリントしたもので構いません。

ただし、逆に「履歴書(手書き)」と記載があったら要注意です。作業の丁寧さ、文字のバランス等も合わせてチェックされています。過去、手書きでの履歴書が必須である会社で、書類審査で落ちてしまった方がいらっしゃいました。確認したところ、履歴書の文字が雑で、欄からはみ出してしまっているところもありました。

<その他、過去に求職者から聞かれた質問>

Q)学生時代の就職活動の際に使った、○○美術大学と書かれた履歴書が家にあるのですが、これを使ってもいいですか?
A)やめた方がいいです。先ほどの「志望動機」は御社に入りたい、という熱意を示すもの。それを、家にあった昔の余りを使って表現する、というのはおかしいですよね?採用する側も、「なぜこの人は学生時代の履歴書なんだ?」と疑問に思うと思います。

Q)本人希望欄(給料、勤務地、・・・)という欄があるのですが、ここで希望年収は書いた方がいいですか?
A)よほど譲れない条件があるなら書いた方がいいですが、基本的には書かない方が良いです。
  譲れない条件とは、例えば「年収〇〇万円以下なら辞退します」などです。年収の場合は理由を明記したいところです。「今回の転職理由が年収アップなので、現職プラス50万の〇〇万円を希望します」などです。

以上です。

職務経歴書の時も書きましたが、人事部門の役員など、デザイン部以外の方が面接に出てくる場合、ポートフォリオを見ないで職務経歴書と履歴書だけを熟読している様子がよく見られます。そういった方々にも人となりをアピールする材料だということを忘れないでください。

冒頭にも書いたように、履歴書は最も重要度が低いのでつい油断しがちですが、凡ミスの無いよう、ご注意ください。
(誤字があると、雑な仕事をする人だと思われるので、よく見直しましょう!)


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