デザイナー面接のコツ

弊社ブログの連載から、デザイナー面接のコツをまとめました。
その他のトピックは「デザイナー転職ガイド 目次」をご覧ください。

面接の4つのパターン

企業が中途採用をする場合、まずはポートフォリオ・職務経歴書・履歴書で書類選考をします。ここでかなりの人数が落とされ、選考を通過した人だけが面接に進めます。

面接はデザイン部門長などによる1回のみの場合と、役員や社長面接が加わり2回行われる場合があります。
面接のスタイル・位置づけは企業や求人内容により異なりますが、概ね以下の4つに分かれます。

A-1)ほかの応募者がいない:適性を詳しく確認するための面接

ほかに候補者がいない場合でも、ポートフォリオや職務経歴書だけで採用が決まるわけではありません。書類だけでは判断しきれないスキルや人柄、コミュニケーション能力などを、面接での受け答えを通して確認します。

中途採用では、比較的多く見られる選考パターンです。ただし、競合する候補者がいないからといって、採用が確約されているわけではありません。面接で企業が求める水準に達していないと判断されれば、不採用となるケースもあります。

最後まで気を緩めず、これまでの経験や強みを具体的に伝えられるよう、十分に準備して臨みましょう。

▶この場合のアドバイス

事前に想定質問(次回「面接Ⅱ」で説明)を考え、ある程度答えを用意しておくことです。しかし、丸暗記してしまっては不自然になるので、キーワードをメモする程度にとどめた方が無難です。話し慣れていない人は、誰かに質問してもらい人前で話す練習をしておいた方が良いです。

なお、仕事内容などで気になる点があれば一次面接で質問しておくとよいです。二次面接は役員や社長面接で、気になる点を質問できる雰囲気ではない可能性があるからです。(この点については、A-2)で詳しく説明します。)

A-2)ほかの応募者がいない:採用を前提とした最終確認の面接

このケースは、求める条件が厳しく、該当する人材が限られる求人でよく見られます。条件に合う人材が少ない求人では、企業が数か月以上にわたって採用活動を続け、ようやく有力な候補者に出会うこともあります。そのため、書類選考の時点で評価が高く、企業側が採用を前向きに検討しているケースも少なくありません。

面接では、スキルや経歴の最終確認に加え、人柄や入社意欲、勤務条件などに大きな相違がないかを確認します。問題がなければ、入社時期や入社後の手続き、今後の流れについて具体的な話が進むこともあります。

ただし、採用が正式に決まるまでは油断せず、受け答えや条件面の確認を丁寧に行うことが大切です。

▶この場合のアドバイス

自然体で行くこと。また、質問や不安な点があれば聞いておきます。というのは、もし内定が出た場合、「受諾する」「辞退する」かを決めなくてはいけないからです。

このケースでは、企業側は答えにくい質問でも素直に答えてくれることが多いです。採用条件や職場環境について十分に説明しないまま入社に至っても、実際の働き方とのミスマッチによって早期退職につながれば、企業にとっても大きな損失となるためです。

そのため企業側も、候補者にとって不都合になり得る点を含め、事前にできるだけ正確な情報を伝えたうえで、双方が納得して入社を判断することを重視します。条件が合わない場合には、入社後に早期離職となるよりも、選考段階で辞退してもらう方が、企業・候補者の双方にとって負担が少ないと考えられているのです。

年収やテレワークなど、入社を判断するうえで譲れない条件がある場合は、この段階で確認し、企業側と認識をすり合わせておきましょう。

B-1)面接で複数人から絞る場合:課題なし、複数の候補者を比較する面接

書類選考を通過した人が複数人おり、面接で絞るケースです。書類選考の結果ではAさんが良かったけど、面接での受け答えやポートフォリオの説明を受け、Bさんの方が良いね、と逆転することが多々あります。
また、面接結果が合格を出す水準に達していなかったということで、全員不採用で再募集になることもあります。

▶この場合のアドバイス

A-1)と同じです。事前に想定質問(次回「面接Ⅱ」で説明)を考え、ある程度答えを用意しておくことです。面接で緊張してしまう場合は、誰かに質問してもらう模擬面接もお勧めです。(弊社紹介の企業に応募し、面接に進まれた場合には模擬面接を実施しています)

B-2)面接で複数人から絞る場合:課題あり、課題のプレゼンも含む面接

面接の前に課題が出され、その課題を面接でプレゼンするケースです。2~3週間前に課題を伝えられる場合もあれば、当日の朝から夕方までの間に作成、夕方からプレゼン面接というケースもあります。
課題はおおむね、業務で可能性のあるデザインの提案です。ターゲットが決まっている場合もあれば、ターゲットも自分で設定する場合があります。

プロダクトデザイナーの場合、課題途中のラフスケッチもすべて持ってくるように言われる場合もあります。プロセスも重視されるからです。(特に指示がない場合も、持って行く方が良いアピールになります)

このケースで面接官が見ているのは、「デザイン力」と「プレゼン力」です。

▶この場合のアドバイス

事前課題がうまくいかなくても、ハキハキと自信をもってプレゼンしましょう。

また、基本的なことですが求人企業は「一緒に仕事をする仲間を探している」ということを忘れないでください。デザイン課題は、企業が通常デザインしている製品であることが多いので、面接官はその分野のベテランです。従って、彼らの想像を超えるようなデザインは難しいと思います。しかし、それでも真摯に課題に取り組んで自分の考えを堂々と示すことができれば、「この人とだったら一緒にやっていきたい!」と思ってもらえると思います。

逆に、自分を良く見せることを意識しすぎて奇をてらったおかしなデザインを出してしまったり、Webで見つけた豆知識を偉そうに語ると、「なんか空振りしていてこんな人とは働きたくないな」と思わせてしまう可能性もあるのでご注意のほど。

Webで見つけた豆知識は、ベテランにとっては初歩の常識だったりするのでそれを語るのは寒いことが多いです。


面接でよく聞かれる質問

面接において、一次面接の面接官は「デザイン部のトップ」と「人事の担当レベルの方」である場合が多く、企業によっては転職エージェントの同席が認められています。私もこれまで数多くの面接に立ち会ってきました。今回は、その経験をもとに、デザイナーの面接でよく聞かれる質問と回答のポイントを解説します。
なお、二次面接になると、たいてい社長や役員など、より上位の役職者クラスが出てくるので同席が許されることはほぼありません。デザイン事務所の場合は最初から社長が出てくることが多いです。。

Q:簡単に職務経歴と自己紹介をしてください。

特に時間の指定がなければ、1~3分程度で簡潔に話すことが一般的です。職務を順に説明し、そこで何を得てどんな能力がついたのかを説明できると良いです。
基本的に口頭だけで簡単に説明するイメージですが、もしこの場面でポートフォリオを説明したい場合は、一言「ポートフォリオを使って説明してもいいでしょうか」と聞くといいでしょう。ただし、ポートフォリオを使うとどうしても時間が長くなってしまうので、まずは口頭で簡潔に回答しましょう。

また、意外ですが、名前を名乗るのを忘れがちなのでご注意ください。そして、自己紹介の最後には「本日はよろしくお願いします」で締めると良いです。

▶より難易度の高い質問の場合
「今までの業務の中での成果を、定量/定性の両面で答えてください」という質問がありました。ITのスタートアップ企業で、1人目デザイナーの募集でした。売上や制作数などの数値だけでなく、業務改善や社内評価といった定性的な成果も含めて、具体的に説明できるようにしましょう。

Q:ポートフォリオを説明してください

この質問では「〇分で説明してください」と時間の条件が付く場合があります。

例えば、先日の某社の面接では「10分」という条件でした。10分は長いように感じますが、順に説明していくとあっという間に終わってしまいます。そのため、作品に優先順位をつけ、この作品は絶対に説明したい!と思う作品を決めておくことがポイントです。時間が余った場合は残りの作品を順に説明すると良いでしょう。

※面接によって、ポートフォリオの見せ方が異なります。対面面接では、PCやiPad、印刷物など、当日スムーズに提示できる形式を準備しておきましょう。オンライン面接の場合は、すぐに画面共有できるように準備し、練習しておくとよいです。また、、説明が長くなりすぎないようポイントを絞りましょう。

Q:当社を志望する動機は何ですか?

基本中の基本の質問です。「御社のホームページを拝見してこういう点にとてもひかれました」というような内容を用意しましょう。そのためにも、応募企業についての情報収集が欠かせず、企業に対する礼儀でもあります。履歴書等に記載して提出済みであれば、あらためて確認しておきましょう。

履歴書に書く志望動機については、履歴書Ⅱ:志望動機を大切に(2026更新)で説明しています。ただ、履歴書に記載した志望動機をそのまま話すと長すぎることが多いので、必要に応じて短くしましょう。競争率の高い人気企業の場合、入社意欲を重視する可能性があるので十分に準備しておきましょう。

Q:退職理由はなんですか?在職中であれば、転職を考えている理由は?

面接官に人事部の人がいる場合によく聞かれる質問です。会社都合による退職であっても、事情を簡潔に説明できるようにしておきましょう。自己都合で短期間のうちに退職した場合は、特に納得感のある説明が必要です。

▶すでに退職済の場合
転職先が決まる前に退職し、一時的に離職期間が生じたことをネガティブに捉える面接官もいます。そしてそこに対して質問される場合があります。明確な理由があれば良いです。特にない場合は、例えば、「働きながらだとどうしても業務が忙しくてポートフォリオ作成が進まず、どんどん先延ばしになってしまっていたので、思い切って退職をしてから転職活動に集中しようと考えました」という理由もあります。ただし、事実と異なる理由を作るのではなく、ご自身の状況に合わせて説明してください。

▶避けた方がいい理由
「キャリアアップのためです」だけで終わらせるのは避けましょう。スタートアップや外資系なら良いかもしれませんが、多くの場合は、再び早期に転職するのではないかと懸念されることがあります。

 ※退職理由と志望動機を混同する方がいますが、志望動機は応募企業に「入りたい」理由、退職・転職理由は今の会社を「出たい」理由です。多少重なるところもありますが、異なるのでご注意ください。

Q:当社で、あなたのどのような能力を最も活かせると思いますか?

自分の強みを聞かれています。応募企業が求める人物像を踏まえ、ポートフォリオや職務経歴書に記載した実務経験と結びつけて回答しましょう。 

Q:これまでのデザインで心掛けていることは何ですか?

頭の中でイメージし、言語化しておくと良いでしょう。別の切り口で、「デザインの根拠を立てるときはどのように行っていますか?」という質問もありました。 

Q:長所と短所は何ですか?

たまに聞かれる質問です。あらかじめ考えておかないと短所の回答が難しいです。また、短所の回答によっては、相手が不安になってしまう場合があります。必ず、「短所を改善するためにこういうことを心がけている」ということを付け加えましょう。 

Q:一緒に働く上で苦手とする人はどのような人ですか?

前述の短所の回答同様に「このような人が苦手ですが、こう接することで対処しました」というような対処方法や工夫を付け加えましょう。思い当たらなければ、学生時代の話でもよいので、「社会人になってからは特に感じたことはないのですが、学生時代に・・・」というような言い方が良いです。また、明らかにこんな人は迷惑だな、と思われるような人を挙げておきましょう。

Q:社内外での折衝(コミュニケーション)で、うまく進めるためのポイントなどはありますか?

コミュニケーション能力はどの会社でも求められるところですので、具体的な経験をもとに話ができると説得力のある回答になります。

Q:趣味はありますか?

正直な趣味で良いですが、急に聞かれると意外と話しにくいので回答を準備しておきましょう。
また、趣味の話になるとつい話過ぎてしまうことがあります。面接官も興味を示してくれれば会話が広がり、コミュニケーションのきっかけにもなりますが、興味がない内容だと退屈させてしまいます。面接官の反応が薄いようならば簡潔に短く話しましょう。

Q:これまでで最も辛かった業務は?(大変だった業務は?)

「辛かった業務」と聞かれると、会社や上司への不満など、ついネガティブな話になってしまう場合があります。「辛かった、というか大変だった業務ですが・・・」というように、大変だった業務を伝えると回答しやすいでしょう。

面接官が知りたいのは、単に「どれほど大変だったか」ではありません。あなたが仕事上のどのような状況を「大変だ」と感じるのか、そして、そのような困難に直面した際にどのように考え、行動したのかという点です。また、何を「大変だった」と感じるかは人によって異なり、その人の仕事に対する考え方や個性が表れやすい部分でもあります。いざ聞かれたときに慌てないよう、自分ならどの業務を挙げるか、事前に整理しておきましょう。 

Q:将来なりたいイメージはありますか?

基本的にはキャリアの目標を聞かれています。
最初に「まずは今回の○○の業務をできる限り早く身に着けて会社に貢献していきたいと思います」として、そのあとにその募集職種なりの発展形を伝えられると良いでしょう。

また、求人票に「将来のリーダー・管理職となれる人材を募集したい」などの記載があった場合は、その点にも触れ「その後慣れてきたら、若手の育成にも興味があります」「今回の求人にあったようなリーダー職、管理職にも興味があります」と伝えられると、求人内容を理解したうえで応募していることも伝わりやすいでしょう。

※あくまで応募企業内で実現できる内容にしましょう。そうしないと、すぐに転職すると捉えられる場合があります。
 同様の理由で「ステップアップしていきたい」「キャリアアップしてきたい」という言葉は、転職を想起させるので避けた方が無難です。 

Q:管理職経験はありますか?(求人票に管理職や将来マネージャー候補などがあった場合)

▶管理職経験がある場合
どの会社の時に何人の部下を持ったのか、その際に気を付けたポイント、苦労した点、それを解決した手法などを伝えると良いでしょう。

例)○○社に在職時、新卒を含む部下2名の管理を経験。業務の進捗管理と教育を担当しました。

週1回の個別ミーティング(1on1ミーティング)を企画して、毎週実施しました。それぞれの目標設定、進捗管理、達成のための障害の越え方などを話したのが良かったようで2人ともモチベーションが上がったと感じました。特に1人は、最初の1年は納期に遅れそうになって慌ててフォローすることも多かったのですが、1on1ミーティングを通じて課題を1つずつつぶしていったことで、納期困難なプロジェクトでも納期内に納品することができるようになりました。

▶管理職経験がない場合
プロジェクトのリーダー経験や、地域の活動でのリーダーなどでもあれば、「役職としてのリーダー経験は無いのですが、」と前置きして説明することをお勧めします。デザイン部門は人数が少ないので管理職経験がある人は少ないので、こうしたアピールが有効になる場合もあります。

Q:内定を出してから、どれぐらいで入社できますか?

先方は早ければ早い方がよいはずです。とはいえ、現職と円満退社してほしい気持ちもあります。これまで私が支援してきたケースでは、1.5〜2カ月程度が多いです。もちろん現職と相談しなければ正確な回答ができない質問なので、「内定をいただいてから上司と相談して、の結果になるので、仮の想定ですが」という前提で話して構いません。 

入社までの期間が長くなってしまいそうな場合、ここで正直に言っておいても良いです。ただ、これまでの経験から見ると、転職する前は「重要プロジェクトが9月にあるので、3~4か月はかかりそう」と想定していたのに、実際に退職について上司に相談すると1.5~2カ月程度で収まったということも多々あります。なぜなら、退職予定の人には重要なプロジェクトは頼みたくないので、早く次の人を見つけ、その人にやってもらった方が良いからです。

Q:希望年収はいくらですか?

面接の場では聞かれることは少ないですが、面接後に人事の方と1対1になって聞かれることがあります。ここで高すぎる金額を言うと、その金額を払えるスキルか、という視点で審査されるので、基準が厳しくなり見送りになる可能性もあります。
 
明確に「これを下回ったら内定しても辞退する」というラインがあれば、それを伝えましょう。特に希望は無いのであれば、「業務内容で選びたいので御社の基準に合わせます」という言い方が良いでしょう。大企業だと、年齢と職務レベルである程度決まっている場合もあります。

Q:現在、他社にも応募していますか?

基本的には素直に答えた方がいいです。嘘をついてしまうと後日ばれた時に心象が悪くなります。転職を決めた以上は、複数社に応募していることは珍しいことではないので、問題ありません。

Q:他社の内定が出た場合、そちらに行きますか?

「もし全社から内定が出た場合、どこに行きますか?」や、「もし内定を出したら、入社してくれますか」などの聞かれ方もあります。

別の企業が第一志望であっても、「迷っているので、面接での雰囲気やそこでお聞きする仕事内容、待遇面などで総合的に判断したいと思います」などと答えるのが無難です。そうしないと、「志望度が低いので不採用」となってしまう可能性があります。特に創業社長が同席した面接や、日用雑貨メーカーなどの人気企業は要注意です。実際に、面接で印象が逆転することはよくあります。

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よく聞かれる質問は以上となります。

面接で意識したいポイント

  • 事前に企業を調べる
    先方の会社についてリサーチしておくことが重要です。ホームページを見たり、もしお店等で売っているものであれば、現物を売り場で確認し、どのように販売されていたか、どのような客層が見ていたかなどを話題にできれば、企業や商品への関心も伝わりやすくなります。
  • 質問の意図を理解し、回答する
    面接官の話をよく聞く姿勢と、質問の意図を理解することが大切です。たまにあるのが、用意してきた答えを話したいがために、質問の内容とちぐはぐな回答をしてしまうことです。こうなると「コミュニケーションスキルが低い」という印象を与えてしまいます。
  • 逆質問を用意しておく
    「質問はありませんか?」と聞かれて何もない場合、企業に対して興味がないと思われる可能性があります。とはいえ、給料の質問は微妙なのでよほどのことが無い限り避けた方がいいです。「デザインする上で苦労する点はどこですか。」「どれぐらいの期間で業務が進むのですか。」「メンバーに何か性格的な特徴などはありますか。」など、聞きたいことをリストアップして書き出しておいて、質問されたらそれを見ながら「ご質問したいことを漏れがないよう、メモしてきました」と言って質問しても問題ありません。
  • 履歴書と職務経歴書を印刷して用意しておく
    データなどで提出済みでも、念のため履歴書と職務経歴書を持参することをお勧めします。(オンラインの場合はすぐに見せられるようにしておきましょう)

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なお、弊社では、弊社を通じて応募された方が面接に進んだ場合、面接への同席が認められていなくても、できる限り企業の入口まで同行するようにしています。同行のみの場合は入口でお見送りすることになります。一見すると、そこまでする必要はないようにも思えるかもしれませんが、道中で話をすることで面接前の緊張が和らいだり、自分の考えを整理できたりするため、とても有効だと考えています。


退職理由 / 転職理由の伝え方の注意点

前の会社の退職理由は?と聞かれて『ステップアップするため』は危険

弊社で転職面談をする中で、「一通りデザインを経験し、これ以上は成長できないと感じたため、スキルアップを目的に転職したい」と答える方は少なくありません。しかし、面接 II :よく聞かれる質問【前編】でも触れたとおり、これまでの勤務先を退職した理由として「ステップアップ」「キャリアアップ」「スキルアップ」を挙げる際には注意が必要です。

なぜなら、採用担当者に「うちに入っても、一通り経験したらまた転職してしまうのでは?」と懸念され不採用につながる可能性があるからです。

では、なぜ企業は「長く働いてもらえるかどうか」を重視するのでしょうか。その背景には、採用や入社後の育成にかかるコストがあります。

企業が社員1人を採用するためには、採用活動に多くの費用がかかります。さらに、入社後も先輩社員や同僚による業務の指導、上司によるフォローや育成など、多くの時間と労力が必要です。つまり、企業にとって人材の採用・育成は、費用面だけでなく人的リソースの面でも大きな投資といえます。

転職の目的がステップアップであったとしても、面接では「ステップアップしたい」という言葉だけで終わらせず、転職を考えた具体的な理由まで伝えることが大切です。

これまで企業向けの製品を中心にデザインしてきたのであれば、「今後は、より生活者に身近な商品のデザインに携わりたいと考えたため」といった伝え方ができます。ポイントは、その退職理由が応募先でも再現しないことです。退職理由として挙げた内容が応募先企業にも当てはまってしまうと、「入社しても同じ理由で辞めてしまうのではないか」と思われる可能性があります。応募先であれば自分の希望を実現できる、というところまで説明できるようにしておきましょう。

前の会社の退職理由は?と聞かれて「ブラック企業だったから」は伝え方に注意

残念ながら、デザイン業界では「長時間労働が常態化している」「業務量に対して給与水準が低い」といった、いわゆるブラックな労働環境の企業もあります。

こうした環境が退職理由である場合は、前職への不満や悪口として伝えるのではなく、具体的な数字を交えながら、できるだけ客観的な事実として説明するとよいでしょう。

例えば、「毎日終電近くまで勤務する状況が続き、月の残業時間も〇〇時間程度ありました。このまま長く働き続けるのは難しいと考え、転職を決意しました」や、「残業時間が多い一方で年収は〇〇万円でした。これまでは経験を積む期間と考えて勤務していましたが、今後は経験に見合った待遇の環境で長く働きたいと考え、転職を決意しました」といった伝え方です。

ここでもポイントは前項と同じで、退職理由として挙げた状況が応募先企業でも起こり得ないかを確認しておくことです。

例えば、「繁忙期には月40時間程度の残業があり、それが退職理由の一つでした」と伝えた場合、応募先企業でも繁忙期に同程度の残業が発生するのであれば、「うちでも同じ理由で辞めてしまうのではないか」と懸念され、不採用につながる可能性があります。

また、「営業の意見が強くてデザイン部の意見が通らないのが不満」ということも、「うちでもそういうことはあるよ」となるとマイナスな印象になってしまいます。

退職理由を伝える際は、前職の労働環境への不満だけで終わらせず、「どのような環境であれば長く働けるのか」まで整理して伝えることが大切です。

前の会社の退職理由は?と聞かれて「パワハラ上司がいたから」は慎重に

「パワハラな上司がいたから」という退職理由は、できればそのまま伝えるのではなく、別の角度から整理しておきたいところです。というのも、パワハラにあたるかどうかは、短い面接時間の中では状況や背景まで十分に伝わりにくく、受け取り方にも個人差があるためです。

誰が聞いても「それは明らかに問題のある対応だった」と納得できるような具体的なエピソードがあり、客観的に説明できるのであれば問題ありません。ただし、感情的な愚痴や前職への悪口のように聞こえてしまう可能性がある場合は、無理に「パワハラ」を退職理由の中心にせず、仕事内容や職場環境、今後の働き方など、別の理由から説明できないか整理してみましょう。

 


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