プロダクトデザイナーをめぐる温度差

先日、目黒にある国内最大規模のシェア工房「Maker’s Base」の
1周年記念イベントがあったので行ってきました。会場では3mの
流しそうめんが設置されたり、大変な盛り上がりを見せていました。
また、その場で手作り作品のマーケットサイト「iichi」とMaker’s Baseの
包括的業務提携が発表されました。個人モノづくりの「作り手」へのサービス
強化として、工房の「作る」、ワークショップで「学ぶ」部分を

aker’s Baseが担当。サイトでの「売る」、作品やワークショップの
PR「広げる」をiichiが担当するとのこと。
さらに以下のような方々のトークセッションがMaker’s Base COOの
松田純平氏の司会で行われました。講演自体も面白かったのですが、
そのあとの松田氏とのやり取りが大変面白く、クリエイティブな刺激に
富んだ時間でした。
?iichi(株) 代表取締役 飯沼氏 / 取締役 佐藤氏
?Fab Café LLP COO 川井氏 / Director 岩岡氏
?Makers’ Base会員 工業デザイナー 澤井氏
皆さん大変エネルギッシュで前向きで、トークセッションをしながら新しい
企画がポンポン決まっていました。今後の日本にいろいろな新しいことを
起こしてくれそうで、将来「こんな豪華メンバーが一同に会した講演会が
あったのか!」と驚かれるようなセミナーだったのかもしれない、と勝手に
思っていました。
(講演内容についてはMaker’s Baseのブログに近日公開とのことで割愛します。)
話は変わって、先週号の日経ビジネスで3Dプリンタが特集され、その中で
ダイハツの新型コペンの「デザインのオープン化」を大きく掲載しています。
(下記URLは日経デザインのページですが、概要がよくわかります。)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/design/20140724/269176/
記事の小見出しで「メーカーは基本機能に注力」というものがありました。
フレームだけで乗客の安全を確保し、外板を樹脂製にしてデザインしやすく
しているとのこと。そして必要なデータをパーツメーカーや外部デザイナーに
提供し、幅広く内外装部品(着せ替えパーツ)の生産に参画してもらおうという
ことです。
つまりこの小見出しは「メーカーはフレームなどの基本性能に注力し、デザインは
外部に任せる」とも読み取れます。自動車業界という、プロダクトデザインの
頂点ともいえる業界にて、メーカーがデザインを手放すとも取れる記事です。
ちなみに、この着せ替えパーツ構想もユーザーの支持を受け、発売後1ヶ月の
7月に月販目標の6倍となる4000台を受注したとのこと。
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140722_658905.html
Maker’s Baseやiichi、Fab Cafeの動きや3Dプリンタをめぐる熱狂を見るに、
立体を操ることのできるプロダクトデザイナーへの期待は広がっているように
感じます。
一方で、プロダクトデザイナーの求人案件はむしろ減少傾向にあります。
特に大企業でプロダクトデザイナーの需要が減少し、足りないGUIへ社内転向して
もらったという話も良く聞きます。
(プロダクトデザイナーは器用でいろいろな部署から狙われているという話も
聞きますが)
この温度差を考えると、通常の型にはまったプロダクトデザイナーではなく、
広い意味でプロダクトをデザイン、作り上げられるデザイナーが求められているのだと
思います。
プロダクトデザイナー業界の夜明けは近い?!
追記:かわさきデザインコンペ、9/16締切です!3連休で仕上げていただいて、ぜひぜひ
   ご応募ください。
   優勝賞金100万円、優秀賞(4点程度)15万円、入賞(5点程度)8万円です!
   詳細は以下URLご参照。
  http://www.kawasaki-net.ne.jp/design/kdc/2014/index.html
(下村航)

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