『野次喜多本』登場人物の新たな“ちょっといい話”(30)鎌倉彫の大家 大和義文さんと鎌倉国宝館「北斎と肉筆浮世絵」展巡り。

 

鎌倉彫の大家のひとりで、神奈川デザイン機構(1990年代)の理事仲間として知り合い、
大和さんは逗子にお住まいで、隣の鎌倉の私はご近所付き合いをさせて頂いている。

大和さんは、日常使う鎌倉彫の器類も制作されているが、時には“鎌倉彫”を通り越して、
現代彫刻の一端に迫るような木彫の芸術作品も制作・発表されている素晴らしい作家である。
(『野次喜多本』より抜粋)

「北斎と肉筆浮世絵」展は、毎年、年の初めに、鎌倉国宝館で開催される、
氏家浮世絵コレクション展。

  

1974年10月、多年にわたって肉筆浮世絵の蒐集につとめてきた故・氏家武雄と、
鎌倉市が協力し、鎌倉国宝館に設置された財団法人(今は公益財団法人)。
そのコレクションの特色は、全作品が肉質画であること。
氏家武雄は、日本の優れた庶民芸術の華というべき浮世絵、
ことに肉筆浮世絵を早くから注目し、その保護と継承、および
貴重な文化遺産としての認識を広めることにつとめてきました。
画家自らが直接描いた肉質画は、版画と異なり、
細やかな筆使いや微妙な色彩を駆使して描かれ、
その美しさとともに画家本来の技量を知る貴重な資料。

北斎の全作品肉筆画を、大和さんと一点一点見ながら、
この肉筆画のどこがいいか、どこに魅力があるのか、
版画という印刷物と、どこがどう違うかなど、
かなり突っ込んで話し合えたのは楽しかった。

彼は“鎌倉彫の職人”に徹して、作家とは一線をおいてみえるが、
今夏の、有楽町での「エメラルド展」には出品される(私も)、
予定で、この年齢に達して、二人ともボケてはいられないと、
“静かに杯を交わした旧正月でした。”
(喜多謙一)

注:肉筆画は、長く展示すると色が飛び、常設展に耐えられないから、
期間が限られ、会期を1-2か月に絞って展示するという学芸員の言葉・納得できた。
 
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