当社の求人はプロダクトデザイナーが最も多いのでこのようなタイトルですが、他デザイナーにも参考になると思います。
※過去に掲載した内容を加筆したものです。一気に読みたい方はこちら。
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今回は、面接で必ず聞かれる「退職理由」についてです。(在職中の場合は「転職を希望する理由」と置き換えて読んでください。)
退職理由は通常にポートフォリオや職務経歴書、履歴書には記載する必要はありませんが、面接でほぼ100%といっていいほど聞かれます。
職務経歴書の各在籍企業欄にひとこと程度で書く方もいらっしゃいます(例:デザインの幅を広げるため)。転職回数が多い方は、ある程度の納得感のある理由であれば、記載しておくと転職回数が多いことのフォローになります。直前の会社(在職中であれば現在の会社)の退職理由はもちろんですが、転職回数が多い方はすべての会社について聞かれる場合もありますので用意しておいた方がよいかと思います。
<記載時の注意点>
– 悪口にならないように注意する
多くの方は、前の会社に何らかの不満を持って退職されるかと思いますが、前職場の悪口をいうと面接で印象が悪くなります。
たとえとんでもない会社だったとしても、面接官はその会社を知りません。ましてや転職経験がない面接官の場合は、現在の会社がすべての基準になりますので、ひどい会社が存在するということを想像できません。
そういった方に対して、「前の会社はひどい会社で」ということを熱を込めて話しても、「この方はすぐに不満を持って愚痴を言う人なのではないか」と思われてしまいます。そもそも内容どうこうよりも、悪口を言っている様子というのは印象を悪くします。
良い言い方としては、感情を抜きにして事実だけを伝えるようにする方法です。「毎日のようにXX時まで働いていたら体調を崩してしまいまして」「社長がワンマンな方で、10年以上勤務している先輩もアシスタント的な仕事しかしておらず、ここにいても成長が見込めないのではないかと考えました」などです。
– その理由が今受けている会社では解消されているか
よくある理由の一つ、「この会社はエンジニア(開発部門)が強いのでデザインの意見が通らない」というものですが、それに対して「うちもそうだよ。それをうまく懐柔するのもデザイナーの大切な仕事では?」と返されてしまうとそこで終わってしまいます。受ける会社で解消される理由か、改めて確認しましょう。
– 言い方を注意しつつ、できる限り真実を話す
矛盾するようですが、言い方を注意して、できる限り事実で回答することをお勧めします。この質問の回答を掘り下げて質問される場合があるからです。
– 簡潔にまとめる
こちらは意外に重要ですが、退職理由にはさまざまなドラマがあるので、異常に長くなってしまう、もしくは言いたくないことが多すぎて異常に短くなってしまう、ということがよくあります。
これは事前に準備しておくことで回避できます。
<よくある退職理由>
– 会社の将来が不安
具体的な事実があれば、無難な理由です。例えば業界全体が縮小傾向だとか、売り上げ不振により年収が下がった/長年上がらない、新製品を開発しなくなりデザイン部の仕事が少なくなってきた、等。
– 会社が倒産、もしくは経営不振により会社都合で退職
– 別な地域に異動を命じられたが、家族のために現在の場所を離れるのが厳しい
– 部署異動になり、デザイン部を外れることとなってしまったが、デザインをやりたい
これらも無難な理由です。「一身上の都合」と書くと身勝手な理由を想像されてしまう可能性があるので、こうした理由であれば必ず書くことをお勧めします。
– 給与が安い
受ける会社の基準年収と100万、200万の乖離があれば問題ないと思います。特に事務所などの驚くような安月給であれば問題ありません。逆に受ける会社と給与があまり変わらないのであれば、この理由は避けた方が良いですが、上記のように長年給与が上がらない、先輩も自分とほとんど給与が変わらないので今後上がる見込みがないという場合は問題ないと思います。
– 自社製品を一通りやったので、新しい分野に挑戦したい
これは若い方であればよいのですが、ある程度の年齢を重ねた方は受けいれる側の企業も経験をあてにして採用するので、採用メリットを感じません。
この場合は、「(自分がやってきた仕事の)スキルを活かしつつ、御社の求人票にあった○○にも挑戦していきたい」というような書き方が良いです。
– 上司とケンカした、社長と合わない
これらの理由は、何らかのフォロー文をつけておく必要があります。
例えば社長が暴力をふるうとか、人前でどなりちらす、等。
あいまいな理由では、「うちに入ってもすぐにやめてしまうのではないか」と心配されてしまいます。
以上です。
<転職回数の許容度>
転職が何回まで大丈夫か。
デザイン事務所やベンチャー企業、外資系企業は比較的気にしない傾向にあります。(ただし、1社あたりの在籍年数が短いと、きちんと理由を説明しなければ、人物的に問題があるのではないかと思われてしまうことがあります)
国内企業、特に大企業では、明確な基準がある場合があります。例えば転職回数は2回まで、と決まっている企業では、それに外れる人はどんなに優秀なデザイナーでも通りません。というのは、そうした基準があるとデザイン部門に届く前に、人事部(もしくは外部の委託業者)が、ポートフォリオも見ずに履歴書だけで自動的に失格にしてしまうからです。(従って、履歴書において、合併や社名変更があった際に転職したように見えない工夫が必要です。過去の弊社記事「履歴書について」をご参照ください)
<最後に>
「面接についてⅠ」「面接についてⅡ」でも書きましたが、求人企業は一緒に仕事をする仲間を探している、ということを忘れないでください。企業側は多くの候補者からあなたを選ぶにあたり、「すぐにやめてしまわないか」という点を心配して退職理由を聞きます。
それに対して、「前回やめたのはこういう理由だったのでしかたない。御社では大丈夫です」ということを言外に感じさせる内容であることが大切です。
<来週は「複数社を同時に受験する場合」です>
(下村航)
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