何年前だっただろうか、鎌倉市内の友人のミニ画廊で、先輩の加賀谷 武さんが個展していると案内を頂いたので、女房と出かけて行ったことがあった。
画廊を丸ごとロープで巻き付けたような作品で、しばし、面食らったが“インスタレーション的作品”とは、このことかと、理解したことを覚えている。
富山県・小矢部市から鎌倉まで、車で画材をご夫婦で運んで来て制作し、近くのホテルで滞在されているというので、もし良かった私の家に今晩一宿でもと、お誘いしたら、快くお二人で拙宅に来られた。玄関から石の階段(写真)10段上られたところで、加賀谷さんは突然,この階段は“素晴らしい”と、褒められたのには驚いた。石の階段を、である。
そんなことなどあり、今回、加賀谷さんの奥様から、昨年亡くなられたご主人の加賀谷 武 遺作展の案内状を頂いたので、6月4日、出かけて行った。
加賀谷 武さんは、学校の先生をしながら、若い時、岡本太郎に“認められたこともあり”、師と仰いでいたと聞いたことがある。約70年間、具象から抽象、インスタレーションへと幅広く活躍された大先輩であった。
2025.6.19 喜多謙一
注:インスタレーションとは、1970年代以降一般化した、
現代美術における表現手法の一つで、
特定の空間全体を作品として体験させる芸術形式
注:わが家の階段は、鎌倉・荏柄天神社の境内にある筆塚の登り階段を、
私が気に入り、同じ庭師に依頼、造ったもの、
“お褒め頂いた時は、非常に感激”、階段を褒めてくれる人ありと。・・・
注:岡本太郎は、1970年大阪万博のシンボルタワー制作し、
「芸術は爆発だ」とCMに出るなど一世を風靡した