この連載ではプロダクトデザイナー向けの転職ポイントを掲載していますが、他のデザイナーにも参考になると思います。
※過去に掲載した内容をアップデートしたものです。一気に読みたい方はこちら。
今回は、面接で退職理由 / 転職理由を聞かれた際の答え方についての補足点をお伝えします。
- 前の会社の退職理由は?と聞かれて『ステップアップするため』は危険
- 前の会社の退職理由は?と聞かれて「ブラック企業だったから」は伝え方に注意
- 前の会社の退職理由は?と聞かれて「パワハラ上司がいたから」は慎重に
前の会社の退職理由は?と聞かれて『ステップアップするため』は危険
弊社で転職面談をする中で、「一通りデザインを経験し、これ以上は成長できないと感じたため、スキルアップを目的に転職したい」と答える方は少なくありません。しかし、面接 II :よく聞かれる質問【前編】でも触れたとおり、これまでの勤務先を退職した理由として「ステップアップ」「キャリアアップ」「スキルアップ」を挙げる際には注意が必要です。
なぜなら、採用担当者に「うちに入っても、一通り経験したらまた転職してしまうのでは?」と懸念され不採用につながる可能性があるからです。
では、なぜ企業は「長く働いてもらえるかどうか」を重視するのでしょうか。その背景には、採用や入社後の育成にかかるコストがあります。
企業が社員1人を採用するためには、採用活動に多くの費用がかかります。さらに、入社後も先輩社員や同僚による業務の指導、上司によるフォローや育成など、多くの時間と労力が必要です。つまり、企業にとって人材の採用・育成は、費用面だけでなく人的リソースの面でも大きな投資といえます。
転職の目的がステップアップであったとしても、面接では「ステップアップしたい」という言葉だけで終わらせず、転職を考えた具体的な理由まで伝えることが大切です。
これまで企業向けの製品を中心にデザインしてきたのであれば、「今後は、より生活者に身近な商品のデザインに携わりたいと考えたため」といった伝え方ができます。ポイントは、その退職理由が応募先でも再現しないことです。退職理由として挙げた内容が応募先企業にも当てはまってしまうと、「入社しても同じ理由で辞めてしまうのではないか」と思われる可能性があります。応募先であれば自分の希望を実現できる、というところまで説明できるようにしておきましょう。
前の会社の退職理由は?と聞かれて「ブラック企業だったから」は伝え方に注意
残念ながら、デザイン業界では「長時間労働が常態化している」「業務量に対して給与水準が低い」といった、いわゆるブラックな労働環境の企業もあります。
こうした環境が退職理由である場合は、前職への不満や悪口として伝えるのではなく、具体的な数字を交えながら、できるだけ客観的な事実として説明するとよいでしょう。
例えば、「毎日終電近くまで勤務する状況が続き、月の残業時間も〇〇時間程度ありました。このまま長く働き続けるのは難しいと考え、転職を決意しました」や、「残業時間が多い一方で年収は〇〇万円でした。これまでは経験を積む期間と考えて勤務していましたが、今後は経験に見合った待遇の環境で長く働きたいと考え、転職を決意しました」といった伝え方です。
ここでもポイントは前項と同じで、退職理由として挙げた状況が応募先企業でも起こり得ないかを確認しておくことです。
例えば、「繁忙期には月40時間程度の残業があり、それが退職理由の一つでした」と伝えた場合、応募先企業でも繁忙期に同程度の残業が発生するのであれば、「うちでも同じ理由で辞めてしまうのではないか」と懸念され、不採用につながる可能性があります。
また、「営業の意見が強くてデザイン部の意見が通らないのが不満」ということも、「うちでもそういうことはあるよ」となるとマイナスな印象になってしまいます。
退職理由を伝える際は、前職の労働環境への不満だけで終わらせず、「どのような環境であれば長く働けるのか」まで整理して伝えることが大切です。
前の会社の退職理由は?と聞かれて「パワハラ上司がいたから」は慎重に
「パワハラな上司がいたから」という退職理由は、できればそのまま伝えるのではなく、別の角度から整理しておきたいところです。というのも、パワハラにあたるかどうかは、短い面接時間の中では状況や背景まで十分に伝わりにくく、受け取り方にも個人差があるためです。
誰が聞いても「それは明らかに問題のある対応だった」と納得できるような具体的なエピソードがあり、客観的に説明できるのであれば問題ありません。ただし、感情的な愚痴や前職への悪口のように聞こえてしまう可能性がある場合は、無理に「パワハラ」を退職理由の中心にせず、仕事内容や職場環境、今後の働き方など、別の理由から説明できないか整理してみましょう。
<次回は、転職活動の注意ポイント2です>
下村航
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