デザインコンペのコツ(個人的意見)

先週、弊社が運営サポートしている「かわさき産業デザインコンペ」の一次審査会が
ありました。結果のご連絡は10月末を予定しております。私もこれまで何度も
応募したことのあるコンペに運営側として加わる貴重な体験ができましたので、
その過程で感じたコンペのコツやポイントをお伝えします。
※あくまでも審査に影響力のない人間の個人的意見で、コンペの公式見解では
 ありません。参考程度にお読みください。

1)デザインコンペに通りやすくなるコツ
 ・審査に立ち会う
 ・審査員のコメントを聞く
 ・他者の作品を見て自分のものとどこが違うのか考える
  今回審査に立ち会ってみて、非常に多くのことがわかりました。
  「コンペの審査に立ち会うなんで無理だろう」とお考えだと思いますが、
 かわさき産業デザインコンペでは、最終審査は公開審査にしていますので
 一次審査を突破した約10作品と作者によるプレゼン、および審査員からの
 質問やコメントを聞くことができます。
  コクヨのコンペでも、審査自体は公開していませんが審査後に審査員の
 トークショーを設け、受賞作品についてのコメントを聞くことができます。
 それを聞くと、どういった観点で審査員が審査しているのかがわかります。
  その他のコンペでも、過去の受賞作品はたいていwebに掲載されています。
 それを見て自分の作品とどう違うのかを考えるだけでもいろいろと学ぶところが
 あります。
2)一次審査で落選するパターン
  今回審査に同席して意外だったのは、審査員、課題企業含めて60票ほど
 あるにもかかわらず、票は一部の作品に集中し、8割以上の作品に1票も
 入らなかったということです。
  その8割も、ボード自体はきれいに表現されているものがほとんどです。
 しかし部外者の我々からしても、票が入らなくても納得、という作品が
 ほとんどでした。落ちた作品に多いのは、以下のようなパターンでした。
 
  A) 真新しい形状・機能だが、その機能にニーズがない
   現在市場にあるものよりも部品を増やして機能を増やしているのですが、
 その機能は「別に無くても困らない」程度であるにもかかわらず、大幅なコスト増が
 予想される作品です。
  B) 形状、機能が他社製品で存在する、新しさがない
   Aとは逆に、市場にあるものに似ていたり、この機能であれば市場にある
 既成品の方がずっと良い、という作品です。(機能が同じでもデザインやコストなどで
 圧倒的な優位性が感じられれば問題ありません)
   
  C) 課題に沿っていない
   特に今回の課題Gの「旋盤加工が産み出す新しい用品」に多かったのですが、
 課題の条件に沿わず、自分の作品ありきで無理やり今回のものに出した、という
 作品です。この課題Gでいえば、旋盤加工を使っていなかったり、使ってもごく一部の
 加工や部品のみにしか使っておらず、旋盤加工企業ではなく他の企業がやった方が
 良いという作品です。
  D) そもそも作れそうもない・未知の部分に対して解説がない
   例えば「ここが大きくスライドします」と説明があるのにあきらかにスライドできない
 形状だったり、これは物理的に実現しないだろう、という作品です。
   (「こういう技術があるのでこれぐらいのサイズで収まります」などの解説が
  あれば問題ありません。また、同業種の既成品と同様の構造であれば細かい
  解説は不要です)
※A,B,C,Dに該当していても、見た目のスタイリングやコンセプトに力があれば
 これらの点はかなり好意的に解釈されます。
   
  
なお、かわさき産業デザインコンペの場合、課題企業によるピックアップがあります。
賞にはならなかったが、売れそうなので個別に連絡したい、という作品について、
川崎市が仲介してデザイナーと企業をつなぎ合わせる、というものです。
しかし、やはり企業はお金を出す側ですので、上記にさらに「採算が取れるのか、
本当に売れるのか」という条件がついてきますので、毎年ごくわずかの件数しか
該当していない状況です。
以上、今後のご参考になれば幸いです。
また、前述のように非常に参考になりますので、ぜひ1月27日の公開審査会へ
ご参加をよろしくお願いします。
(下村航)

PAGE TOP